自動車の相続で最初にやるべき「相続人の確定」|名義変更が進まない本当の理由

相続

家族が亡くなり、自動車やバイクを相続することになったとき。

「車は家族の誰かが引き継げばいい」
「相続人は配偶者と子どもだけだから、手続きは難しくないはず」

そう考える方もいらっしゃると思います。

しかし、自動車の相続では、名義変更の書類を準備する前に、誰が相続人になるのかを明らかにすることが大切です。

相続人が分からないまま手続きを進めようとしても、必要な書類がそろわなかったり、相続人同士の話し合いをやり直すことになったりする場合があります。

今回は、自動車の相続で最初に行う相続人の確定について、戸籍を集める際の難しさや、相続人と連絡が取れない場合の注意点も含めてお伝えします。

相続人の確定とは、何をすること?

相続人の確定とは、亡くなられた方の戸籍などをたどり、法律上、誰が相続人になるのかを明らかにすることです。

一般的には、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍を集め、配偶者や子どもなどの親族関係を調べていきます。

ただし、戸籍を一通取得すれば、それだけで相続人が分かるとは限りません。

たとえば、次のような事情があるためです。

  • 結婚や転籍によって、複数の市区町村に戸籍がある
  • 古い戸籍が残っており、現在の戸籍とは様式や文字の書き方が異なる
  • 前婚の子どもや養子縁組をした子どもがいる
  • 亡くなられた方の子どもが先に亡くなっており、その子どもが代わりに相続人になる場合がある
  • 兄弟姉妹が相続人になるケースで、先に亡くなった兄弟姉妹の子どもが関係する

普段の生活では意識することのない親族関係が、戸籍をたどることで初めて分かることもあります。

そのため、家族の記憶や現在の親族関係だけで判断せず、戸籍の記載に基づいて相続人を整理する必要があります。

戸籍は、集めるだけでなく読み取ることも難しい

戸籍の収集というと、本籍地の市区町村に請求して、必要な書類をそろえる作業を思い浮かべるかもしれません。

しかし、実際には、取得した戸籍を読み取り、親族関係をつなげていく作業にも難しさがあります。

古い戸籍では、現在の戸籍と様式が異なり、手書きの文字や見慣れない記載が使われていることがあります。

また、戸籍には、婚姻、離婚、養子縁組、転籍、死亡など、さまざまな身分関係の変動が記録されています。

ある戸籍に子どもの記載が見当たらなくても、それだけで子どもがいないと判断できるとは限りません。以前の戸籍や、別の戸籍をたどる必要がある場合もあります。

さらに、戸籍に記載されている氏名や続柄を読み取るだけでなく、いつ、どのような理由で戸籍が編製・改製されたのかを踏まえて、記録がつながっているかを考える必要があります。

戸籍は、必要な通数を集めれば終わりというものではありません。記載内容を読み取り、相続人が漏れなく把握できているかを整理することが重要です。

相続人全員を把握しないまま進めると、手続きが止まることがあります

自動車は、不動産などと比べて身近な財産です。

そのため、家族の中で「この車は自分が使う」と決めて、そのまま名義変更の準備を始めることもあるでしょう。

しかし、相続人が複数いる場合には、誰が車を取得するのかについて、相続全体の状況や遺言書の有無などを踏まえて整理する必要があります。

たとえば、次のようなケースです。

  • 車を引き継ぐ予定の人以外にも相続人がいた
  • 相続人の一人が、車を引き継ぐことに同意していなかった
  • 遺産分割の話し合いが終わっていない
  • 取得した戸籍だけでは、相続人全員を把握できていなかった

このような状態では、名義変更に必要な書類をそろえられないことがあります。

相続人の範囲を整理してから、誰が車を取得するのか、どのような書類が必要なのかを考えることが大切です。

関連する内容は、「相続人が決まらないと車はどうなる?|名義変更できないまま起きやすい問題」でも取り上げています。

相続人が決まらないと車はどうなる?|名義変更できないまま起きやすい問題
相続人が決まらず、自動車の名義変更が進まないときはどうすればよいのでしょうか。売却や廃車、保険や維持費、相続放棄を検討している場合の注意点と、手続きを進める前に整理しておきたいことを紹介します。

相続人と連絡が取れない場合は、どうすればよい?

相続人を調べた結果、これまで付き合いのなかった親族が見つかることもあります。

また、相続人の住所や連絡先が分からず、話し合いを進められない場合もあるでしょう。

このようなとき、連絡が取れない相続人を最初からいないものとして扱うことはできません。

まずは、戸籍などから相続人の範囲を整理し、必要に応じて住所に関する資料を調べるなど、連絡を取るための方法を検討することになります。

第三者が戸籍を請求できる場合もあります

戸籍は、誰でも自由に取得できるものではありません。

本人や配偶者、直系の親族などが請求する場合のほか、法律上の要件を満たす第三者が請求できる場合もあります。

また、行政書士などの資格者は、受任している業務を遂行するために必要がある場合、法令に基づく職務上請求によって戸籍などを取得できることがあります。

ただし、行政書士であれば、どのような理由でも他人の戸籍を取得できるというわけではありません。

実際に受任している業務との関係や、請求の必要性などが求められます。戸籍を取得することだけを目的とした依頼で、当然に職務上請求が認められるわけでもありません。

相続人の調査に必要な戸籍の収集と、単に連絡先を知りたいという目的の調査は、区別して考える必要があります。

戸籍を取得できても、相続人との合意が不要になるわけではありません

相続人の住所などが分かり、連絡を取る方法が見つかったとしても、それだけで自動車の名義変更ができるわけではありません。

誰が車を取得するのかについて、必要な話し合いや書類の準備を進める必要があります。

連絡を取っても返事がない場合や、相続人同士で意見が対立している場合には、単に戸籍を集めるだけでは解決できないこともあります。

相続人の間で争いがある場合や、連絡が取れないことによって法的な対応が必要になる場合には、弁護士など、相続問題に対応できる専門家への相談も検討しましょう。

行政書士は、相続関係の調査や、合意ができている内容に基づく書類作成、自動車の名義変更などをお手伝いできますが、対立する相続人の代理人として交渉することはできません。

戸籍を集める前に、車をどうするのかも整理しておきましょう

相続人を確定することは大切ですが、戸籍の収集だけを先に進めればよいとは限りません。

自動車の相続では、次のような点も整理しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。

  • 誰が車を引き継ぐ予定なのか
  • 車を引き続き使用するのか、売却や廃車を考えているのか
  • 遺言書が残されていないか
  • 相続放棄を検討している人がいないか
  • 車検証上の所有者が亡くなられた方本人になっているか

特に、相続放棄を検討している場合には、車を売却したり、廃車にしたりする前に、相続全体の状況を踏まえて慎重に判断する必要があります。

また、車を誰が引き継ぐかが決まっていない場合には、戸籍を集める前に考えておきたいこともあります。

詳しくは、「自動車の相続|戸籍を集める前に、決めておくべきことがあります」もご覧ください。

自動車の相続|戸籍を集める前に、決めておくべきことがあります
自動車の相続では、戸籍を集める前に決めておくべきことがあります。誰が車を引き継ぐのか、相続人間で合意ができているかなど、順番を間違えないためのポイントを解説します。

ゆめのほし行政書士事務所では、名古屋ナンバーの自動車やバイクの相続について、状況に応じて次のようなお手伝いをしています。

  • 相続に必要な戸籍の収集や、相続人の範囲の整理
  • 相続関係説明図の作成や、必要書類の準備
  • 相続による自動車・バイクの名義変更や、状況に応じた抹消登録の手続き

戸籍を集め始めたものの、どこまで取得すればよいのか分からない場合や、相続人が多く、親族関係の整理に困っている場合も、状況に応じてお手伝いできることがあります。

ただし、相続人同士で意見が対立している場合の交渉や、法的な争いの解決は、当事務所の業務範囲外となります。

自動車の相続は、名義変更の書類を準備する前の段階が大切です。

戸籍や相続関係の整理でお困りの際は、まずは現在の状況を整理するところから考えてみてください。