親が亡くなり、自動車の相続手続きを進めようとしたとき。
「相続人の中に、認知症の家族がいるのですが……」
このような状況では、何から手をつければよいのか、戸惑うこともあると思います。
車検証の名義を変更したい。使う予定がないので売却したい。駐車場代や維持費がかかるため、早めに整理したい。
家族としては、できるだけ早く手続きを済ませたい事情があるかもしれません。
しかし、自動車の相続では、車の名義だけを考えればよいわけではありません。
相続人が複数いる場合には、誰が車を引き継ぐのかを決める必要があります。その際、相続人の中に認知症の方がいると、遺産分割の話し合いや、手続きに必要な意思表示について慎重な対応が必要になることがあります。
大切なのは、認知症という理由だけで一律に判断することでも、家族だからといって代わりに進めてしまうことでもありません。
ご本人の状態と相続の状況を踏まえ、適切な順序で手続きを進めることです。
認知症があると、自動車の相続はできないのでしょうか
まず知っておきたいのは、認知症と診断されていることだけで、すべての法律上の手続きができなくなるわけではないということです。
大切なのは、具体的な手続きについて、ご本人が内容や結果を理解し、自分の意思で判断できる状態にあるかどうかです。
認知症の症状や判断能力の程度は、人によって異なります。また、同じ方でも、状況や行為の内容によって判断できることと難しいことがあるため、診断名だけで決めることはできません。
例えば、自動車の相続について、誰が車を引き継ぐのか、どのような手続きを行うのかを理解したうえで、ご本人が自分の意思を示せる場合もあります。
一方で、話し合いの内容や、車を譲ることによって生じる結果を理解することが難しい場合には、通常どおりに手続きを進めることができない可能性があります。
そのため、「認知症だけれど、署名や押印ができるから大丈夫」と、外見上の様子だけで判断することはできません。
また、行政書士が書類を作成できることと、ご本人が法律上有効な意思表示をできることは別の問題です。
家族が代わりに同意すればよいわけではありません
自動車の相続では、相続人全員で話し合い、誰が車を引き継ぐのかを決める場面があります。
例えば、亡くなった父親の自動車を、長男が引き継ぐことになったとします。
相続人が長男のほかにもいて、その中に認知症の母親がいる場合、母親も相続人であれば、相続の内容によっては母親の意思や同意が関係します。
このとき、長男が「母も反対しないはずだから」と考えて、母親に代わって話し合いを済ませてしまうことには注意が必要です。
家族であることと、本人に代わって法律上の手続きを行えることは同じではありません。
また、本人の意思を確認できないまま署名や押印をしてしまうと、後から遺産分割の有効性などが問題になり、名義変更が進められなくなる可能性もあります。
善意で行ったことであっても、本人の権利を損なわないようにすることが重要です。
ご本人の意思をどのように確認し、必要な手続きをどう進めるか。 ここを曖昧にしたまま、車の名義変更だけを急がないようにしましょう。
成年後見制度などの利用が必要になることもあります
ご本人が相続に関する判断をすることが難しい場合には、成年後見制度などの利用を検討することがあります。
成年後見制度には、判断能力の程度などに応じて、後見・保佐・補助という類型があります。ただし、それぞれで権限や同意が必要となる行為などが異なるため、どの制度が関係するかは個別の事情によって変わります。
また、すでに成年後見人などが選任されている場合でも、すべての手続きを自由に進められるわけではありません。
特に注意したいのが、本人と後見人などの利益が対立する場面です。
例えば、後見人となっている相続人自身が自動車を取得するなど、本人と後見人の利益が相反する場合には、特別代理人の選任など、別の対応が必要になることがあります。
成年後見制度を利用すれば、家族が希望する内容で自動車の相続を進められる、というわけではありません。
なお、成年後見制度については、当サイトでも自動車の名義変更との関係を取り上げています。

車を売却したい場合も、先に相続の状況を整理しましょう
相続した自動車を使う予定がない場合、売却や抹消登録を考えることもあると思います。
車検が近い、駐車場代がかかる、維持費を減らしたいなど、早めに整理したい事情もあるでしょう。
しかし、相続人の中に認知症の方がいる場合は、売却する際にも注意が必要です。
車を売ることは、単に登録上の名義を変更するだけではなく、財産を処分する行為だからです。
誰が車を取得するのかが決まっていない場合や、相続人の中に意思表示が難しい方がいる場合には、売却の手続きを進める前に、相続関係や必要な対応を整理する必要があります。
また、相続放棄を検討している場合などは、車の売却や処分を安易に進めないことも大切です。
相続では、自動車だけでなく、預貯金や不動産、借金などを含めて考える必要があります。
相続全体の状況を整理することについては、「自動車の相続。まずは何を、どうすれば良い?最初に確認しておくポイント。」も参考になります。

車を売却する場合も、まずは誰が車を引き継ぐのか、相続人の意思をどのように確認するのかを整理したうえで、必要な手続きを進めましょう。
自動車の名義変更を急ぐ前に、整理しておきたいこと
相続人の中に認知症の方がいる場合、まずは次のような点を整理しておくと、その後の対応を考えやすくなります。
- 相続人の状況:誰が相続人になるのか、相続人の中に判断能力に不安がある方がいるか
- 車の今後の扱い:誰が引き継ぐのか、売却するのか、処分するのか
- 話し合いの状況:遺産分割について、相続人の間で合意できているか
- 必要な支援の有無:成年後見制度などの利用が必要になる可能性があるか
- 車の登録状況:車検証上の所有者は誰か、ローン会社などの所有権留保がないか
すべてを家族だけで判断する必要はありません。
相続人の状況や車の登録内容によっては、法律上の判断が必要な部分と、行政書士が手続きをお手伝いできる部分を分けて考えることができます。
大切なのは、何もかもを一度に解決しようとするのではなく、今の状況で何が必要なのかを整理し、適切な順序で進めることです。
当事務所がお手伝いできること
ゆめのほし行政書士事務所では、名古屋ナンバーの自動車・バイクについて、相続に伴う名義変更などの実際の手続きをお手伝いしています。
相続人の中に認知症の方がいる場合には、通常の相続手続きとは異なり、先に整理しておくべき問題が生じることがあります。
そのような場合でも、相続に関する法律上の問題と、自動車の登録手続きを分けて考えることが大切です。
当事務所では、必要な条件が整った後の自動車・バイクの手続きについて、次のようなお手伝いをしています。
- 相続による自動車・バイクの名義変更
- 登録手続きに必要な書類の作成・整理
- 車検証の登録内容に応じた名義変更手続き
- 必要に応じたナンバープレートの交換に関する手続き
一方で、ご本人の判断能力についての法的な判断、相続人間の争い、成年後見制度の利用や特別代理人の選任などについては、内容に応じて弁護士などの専門家への相談が必要になる場合があります。
当事務所では、対応できる業務の範囲を踏まえ、実際の自動車・バイクの手続きをお手伝いしています。
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