父親が元気だったころ、長男だけが高級車を買ってもらっていた。
次男や長女は、そのような援助を受けていない。
このような家庭で父親が亡くなった場合、車を買ってもらった長男と、ほかの兄弟の相続分は同じでよいのでしょうか。
「長男は生前に大きな援助を受けているのだから、その分は相続財産から差し引いてほしい」
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
実際に、相続では生前の贈与が問題になることがあります。その際に関係するのが、特別受益と遺留分という2つの制度です。
今回は、親から子どもの一人だけが高級車を買ってもらっていたケースをもとに、相続でどのように扱われる可能性があるのかを考えます。
長男だけが高級車を買ってもらった。その差は相続に影響する?
例えば、父親が長男に600万円の高級車を買い与えていたとします。
その後、父親が亡くなり、預貯金など1,200万円の財産が残りました。相続人は長男と次男の2人です。
次男からすれば、長男はすでに高額な援助を受けているのに、残された財産まで同じ割合で相続するのは納得できないと感じるかもしれません。
このような場合に検討されるのが、特別受益です。
民法903条では、共同相続人の中に、被相続人から遺贈や一定の生前贈与を受けた人がいる場合、相続人間の公平を図るため、その贈与などを考慮する仕組みが定められています。
ただし、生前に何かを買ってもらったというだけで、すべてが特別受益になるわけではありません。
高級車の購入費用は特別受益になるのか
特別受益に当たる生前贈与には、婚姻や養子縁組のため、または生計の資本として受けた贈与などが該当すると考えられています。
例えば、独立して生活する長男に対して、父親が生活や事業の基盤を整えるために高額な車を贈った場合には、特別受益に該当する可能性があります。
一方で、車を購入した経緯や贈与の目的などによっては、異なる判断になることも考えられます。
そのため、判断する際には、車の価格だけでなく、どのような事情で買ってもらったのかも重要です。
また、父親が車を購入したものの、実際には父親自身が所有・使用していた場合などは、長男への贈与があったのかという点から検討する必要があります。
特別受益に該当すると、相続分はどう変わる?
先ほどの例で、600万円の高級車が特別受益に該当し、持戻しの対象になると仮定します。
残された財産が1,200万円であれば、計算上は生前の贈与600万円を加えた1,800万円をもとに、各相続人の相続分を算定します。
長男と次男の法定相続分がそれぞれ2分の1である場合、計算上の相続分は各900万円です。
長男はすでに600万円の贈与を受けているため、原則的な計算では残された財産から300万円を取得し、次男は900万円を取得することになります。
このように、生前の贈与を相続分の計算に反映させることで、相続人間の公平を図ることがあります。
ただし、これは特別受益の持戻しが認められることなどを前提とした単純な例です。実際には、被相続人の意思や遺言の内容などによって結論が変わる場合があります。
相続で不公平だと感じたときは
兄弟の一人だけが高額な援助を受けていた場合、ほかの相続人が不公平だと感じることもあるでしょう。
しかし、法律上、その援助が必ず相続分に反映されるとは限りません。
まずは、次のような事情を整理することが大切です。
- 高級車の購入代金はいくらだったのか
- 車は長男に贈与されたものなのか
- いつ、どのような目的で買ってもらったのか
- 父親が亡くなった時点で、どの程度の財産が残っていたのか
- 相続人は誰で、遺言書は残されているのか
これらの事情によって、特別受益や遺留分の扱いが変わる可能性があります。
特別受益や遺留分については、贈与の有無だけでなく、法定の要件や具体的な計算方法も関係します。
兄弟間で意見がまとまらない場合や、遺留分を請求できるか判断が難しい場合には、相続を取り扱う弁護士に相談することも検討しましょう。
当事務所がお手伝いできること
ゆめのほし行政書士事務所では、名古屋ナンバーの自動車・バイクの相続や名義変更などの手続きをお手伝いしています。
- 自動車・バイクを相続した際の名義変更
- 生前に親から子へ自動車・バイクを譲る際の名義変更
- 名義変更に必要な書類の作成
親から高級車を買ってもらった場合、特別受益に該当するか、遺留分の計算に含まれるかといった問題は、贈与の時期や目的などによって判断が異なります。
相続人同士で争いがある場合や、特別受益・遺留分について法的な判断が必要な場合は、弁護士への相談をご検討ください。
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