家族が亡くなり、自動車を相続することになったとき。
車検証の名義変更だけでなく、相続人の間で気をつけなければならないことがあります。
その一つが「利益相反(りえきそうはん)」です。
利益相反とは、一方の利益と、もう一方の利益が対立する関係のことです。
自動車の相続では、未成年の子どもと、その親がともに相続人となる場合などに、利益相反が問題になることがあります。
「親が子どものために手続きを進めるのだから、問題はないのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、親が子どものためを思って行動していても、法律上、利益相反に当たる場合があります。
今回は、自動車の相続で利益相反が問題になるケースや、未成年の子どもがいる場合の注意点について、具体例を交えてご紹介します。
自動車の相続で利益相反が問題になるのはどんなとき?
例えば、父親が亡くなり、相続人が母親と未成年の子ども1人だったとします。
父親が所有していた自動車も、相続財産の一つです。
この車を母親が相続するのか、子どもが相続するのかなど、遺産の分け方を決める必要がある場合があります。
ここで注意したいのが、母親自身も相続人であるという点です。
母親が自分の利益を考えながら、同時に子どもの代理人として遺産分割協議に参加すると、母親と子どもの利益が対立する可能性があります。
例えば、母親が自動車を相続する内容で遺産分割協議を行う場合、子どもが相続するはずの財産との関係など、遺産の分け方によっては利益相反が問題になります。
このような場合、母親が子どもの代理人を兼ねて遺産分割協議を行うことはできず、原則として、子どものために特別代理人を選任する必要があります。
利益相反がある場合は、特別代理人が必要になることがある
親権者と未成年の子どもの利益が相反する行為を行う場合、民法第826条に基づき、原則として家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。
特別代理人とは、その手続きについて、親権者に代わって未成年の子どもの立場で法律上の行為をする人です。
例えば、父親が亡くなり、母親と未成年の子どもが相続人となって遺産分割協議を行う場合、利益相反に当たるときは、家庭裁判所で選任された特別代理人が子どもの立場で協議に参加します。
特別代理人は、子どもの利益を考慮しながら、その遺産分割協議などの法律行為を行います。
親が子どものためを思っていても、利益相反になることがある
利益相反に当たるかどうかは、親が子どもに不利益を与えるつもりだったかどうかだけで決まるわけではありません。
最高裁判所の判例(昭和42年4月18日判決)では、利益相反に当たるかどうかは、親が子どもを代理して行う法律行為の外形から、客観的に判断するとされています。
そのため自動車の相続でも、親が子どものために手続きを進めているつもりであっても、実際に行う法律行為によっては、利益相反が問題になることがあります。
大切なのは、親に悪意があるかどうかではなく、実際にどのような法律行為を行うのかという点です。
特別代理人の選任を避けるためには、どのような方法がある?
父親が亡くなり、相続人が母親と未成年の子どもである場合、母親が自動車を単独で相続するために遺産分割協議を行うと、利益相反が問題になり、特別代理人の選任が必要になることがあります。
しかし、自動車の相続については、特別代理人の選任を避けるためにいくつかの方法を検討できます。
1.相続人全員の共有名義で相続する
母親だけが自動車を取得するのではなく、母親と子どもが共同で相続する方法です。
遺産分割協議を行わず、法定相続分に応じた共同相続として手続きを進める場合には、遺産分割協議に伴う利益相反の問題が生じないため、特別代理人を選任せずに名義変更できるケースがあります。
ただし、共同相続にした後、母親だけの名義に変更したい場合などには、改めて必要な手続きを検討することになります。
自動車の共有名義につきましてはこちらで詳しく紹介しています。

2.生前に自動車の名義を変更する
将来の相続に備えて、自動車を生前に家族へ譲る方法も考えられます。
例えば、父親が所有する自動車を、存命中に子どもへ贈与する方法です。
ただし、生前贈与には贈与税などが関係する場合があり、ほかにも車検証等の名義変更の手続きも必要になります。また、未成年の子どもへの贈与では、親権者による代理や利益相反の問題が生じないか、個別に検討する必要があります。
そのため、単に名義を変更すれば、将来の相続に関する問題をすべて避けられるわけではありません。
3.遺言で自動車を引き継ぐ人を指定する
自動車を誰に引き継いでもらいたいか、あらかじめ遺言で指定しておく方法もあります。
例えば、父親が「所有する自動車を妻に相続させる」といった内容の遺言を作成しておくことが考えられます。
有効な遺言によって自動車の取得者が指定され、遺産分割協議を行わずに相続手続きを進められる場合には、遺産分割協議に伴う利益相反の問題を避けられることがあります。
ただし、遺言の内容や形式、遺言執行の状況などによって必要な手続きは異なります。また、遺言があれば、あらゆる利益相反の問題がなくなるわけではありません。
どの方法が適しているかは、状況によって異なる
特別代理人の選任が必要かどうかだけでなく、将来その自動車を誰が使用するのか、売却する予定があるのか、税金などの負担が生じるかも考慮して、相続方法を検討することが大切です。
すでに相続が始まっている場合と、生前に準備できる場合とでは、選べる方法も異なります。
未成年の子どもがいるご家庭では、相続が始まってから慌てないよう、早めに相続方法を検討しておくとよいでしょう。
当事務所がお手伝いできること
ゆめのほし行政書士事務所では、名古屋ナンバー管轄の自動車・バイクの相続に伴う名義変更など、車両に関する手続きをお手伝いしています。
・自動車・バイクの相続に伴う名義変更
ご家族が亡くなり、自動車やバイクを相続した際の名義変更手続きをお手伝いします。
・相続手続きに必要な書類の確認
車検証や戸籍謄本など、名義変更に必要となる書類を確認します。
・利益相反が関係する場合の確認
相続人に未成年の子どもがいる場合など、利益相反や特別代理人の選任が問題となることがあります。必要に応じて、家庭裁判所や対応できる専門家への相談をご検討ください。
自動車・バイクの相続では、名義変更の手続きだけでなく、相続人の状況に応じて事前に確認しておくことも大切です。
当事務所では、車両に関する手続きを進めるうえで必要となる書類や手続きについて、わかりやすくお伝えします。
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