自動車やバイクを個人売買するとき、契約を結んだ後になって、事情が変わることがあります。
例えば、次のようなケースです。
- 車を買う約束をしたけれど、やはり購入をやめたい
- 売買契約を結んだ後、もっと高く買ってくれる人が見つかった
- 約束した日になっても、相手が代金を支払ってくれない
- 購入した車に、聞いていなかった故障や不具合が見つかった
- 車を引き渡す前に、台風や洪水などで車が壊れてしまった
このようなとき、「契約をキャンセルできるのだろうか」「相手から違約金を請求されたら、支払わなければならないのだろうか」と不安になる方もいるでしょう。
自動車やバイクの個人売買では、契約を結んだ後に気が変わったという理由だけで、自由に契約を解除できるとは限りません。
この記事では、契約を解除できる場合や、キャンセルを考えたときに気をつけたいことをご紹介します。
契約を結んだ後でもキャンセルできる?
自動車やバイクの売買契約は、必ずしも契約書を作成したときだけに成立するものではありません。口頭での合意などによって契約が成立する場合もあります。
そのため、契約書に署名していないからといって、必ずしも自由にキャンセルできるわけではありません。
また、まだ代金を支払っていない、車を引き渡していない、名義変更をしていないという事情だけで、契約をなかったことにできるとも限りません。
契約が成立している場合、売主は車を引き渡す義務を負い、買主は代金を支払う義務を負うのが基本です。
ただし、契約の内容やその後の事情によっては、契約を解除できる場合があります。
自分の都合で契約をやめたい場合
例えば、買主が「購入するつもりだったけれど、急にお金が必要になったのでやめたい」と考えた場合はどうでしょうか。
また、売主が「別の人から、もっと高い金額で買いたいと言われたので売るのをやめたい」と考えた場合はどうでしょうか。
このような場合、単に気が変わったというだけでは、原則として一方的に契約を解除できるとは限りません。
相手がキャンセルに同意すれば、双方の合意によって契約を終了させることはできます。
一方、相手がキャンセルに同意しない場合には、契約書の内容や法律上の解除理由があるかどうかが問題になります。
「まだ車を受け取っていないから大丈夫」「名義変更前だから取り消せる」と自己判断せず、契約内容を踏まえて対応することが大切です。
相手が約束を守らない場合は?
自動車やバイクの個人売買では、相手が契約で決めたことを守らないケースも考えられます。
例えば、次のような場合です。
- 買主が、約束した期日になっても代金を支払わない
- 売主が、約束した車を引き渡してくれない
- 契約で決めた内容に沿った対応をしてもらえない
このような場合、相手が契約上の義務を果たしていないことを理由に、契約を解除できる可能性があります。
ただし、相手が約束を守らなかったからといって、どのような場合でも直ちに解除できるわけではありません。
民法では、相手が契約上の義務を果たさない場合、原則として相当の期間を定めて履行を求め、それでも履行されないときに契約を解除できる仕組みがあります。
一方、相手が履行を明確に拒否している場合や、履行そのものができなくなった場合など、催告をせずに解除できることもあります。
実際に解除できるかどうかは、契約内容や相手の対応、約束が守られなかった事情などによって異なります。
購入した車やバイクに問題が見つかった場合
購入した車やバイクに、契約時に聞いていなかった故障や不具合が見つかることもあります。
例えば、次のようなケースです。
- 購入後にエンジンの重大な不具合が見つかった
- 事故歴について聞いていた内容と実際の状況が異なっていた
- 契約時に説明されていた状態と、実際の車両の状態が大きく違っていた
このような場合、契約の内容と実際の車両の状態が適合しているかどうかが重要になります。
契約内容に適合しない場合には、修理などの対応を求めたり、条件によっては契約解除や損害賠償を検討できたりすることがあります。
ただし、故障や不具合が見つかったという理由だけで、必ず契約を解除できるわけではありません。
車両の状態についてどのような説明があったのか、契約書にどのような取り決めがあるのか、不具合の程度はどのくらいかなど、具体的な事情によって判断が変わります。
個人売買では、売主と買主が個人同士であることも多いため、契約時に車両の状態や不具合への対応を取り決めておくことが大切です。
車を引き渡す前に災害で壊れてしまった場合
売買契約を結んだ後、車を引き渡す前に台風や洪水などの災害で車が壊れてしまうケースも考えられます。
このような場合、買主は代金を支払わなければならないのでしょうか。
車の引き渡し前後で、代金の支払いや契約解除の扱いが問題になることがあります。誰に責任があるのか、契約でどのような取り決めをしていたのかなどによって、結論が変わる場合があります。
災害によって車が壊れた場合の代金支払いや契約解除については、こちらの記事もご覧ください。

キャンセル料や違約金を請求されたら?
契約をやめたいと伝えたところ、相手からキャンセル料や違約金を請求されることもあるかもしれません。
しかし、相手から金額を請求されたからといって、必ずその金額を支払わなければならないとは限りません。
契約書にキャンセル料や違約金についての取り決めがあるか、請求の根拠は何か、実際にどのような損害が生じているかなどによって、扱いが異なります。
一方で、契約を守らなかったことによって、相手に損害が生じた場合には、損害賠償が問題になることもあります。
請求を受けた場合は、すぐに支払うと約束したり、感情的に相手を責めたりするのではなく、契約書や相手とのメッセージなどを整理し、請求の内容を把握することが大切です。
契約を解除するときは、車と代金の扱いにも注意
契約を解除することになった場合、契約を終了させることだけでなく、すでに行ったことをどのように元に戻すかも問題になります。
例えば、次のような対応が必要になることがあります。
- すでに支払った売買代金を返す
- 引き渡した車やバイクを返す
- 車両の返還と代金の返還をどのような順序で行うか決める
- 名義変更が済んでいる場合、登録上の手続きをどうするか検討する
契約解除の効果として、当事者は原則として互いに受け取ったものを返す義務を負います。ただし、具体的な返還方法や必要な手続きは、契約やその後の状況によって異なります。
特に、すでに車両を引き渡している場合や、名義変更が完了している場合には、返還方法や登録手続きについても慎重に進める必要があります。
自動車・バイクの個人売買では、契約前の取り決めが大切です
自動車やバイクの個人売買では、契約を結んだ後に事情が変わったり、売主と買主の間で認識の違いが生じたりすることがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、契約を結ぶ前に、次のような点を取り決めておくと安心です。
- 売買代金と支払日
- 車両の状態や不具合についての説明
- 車両の引き渡し日
- 名義変更を行う人と期限
- 必要書類や手続き費用の負担
- 契約を解除する場合の条件や対応
口約束だけで済ませず、合意した内容を契約書やメッセージなどに残しておくことも大切です。
また、契約解除をめぐって相手との意見が食い違っている場合は、自己判断で車を返したり、代金の支払いを拒んだりする前に、契約内容や法律上の扱いについて専門家へ相談することも検討しましょう。
当事務所がお手伝いできること
ゆめのほし行政書士事務所では、名古屋ナンバー管轄の自動車・バイクの手続きについて、次のようなお手伝いをしています。
- 自動車・バイクの名義変更
- 相続に伴う自動車の名義変更
- 住所変更など、自動車・バイクに関する登録手続き
契約の解除ができるかどうかや、売主・買主間の紛争については、契約内容や具体的な事情によって判断が異なります。契約解除や損害賠償をめぐる争いが生じている場合には、弁護士などの専門家への相談をご検討ください。
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