自動車を購入したり、車検証の住所変更手続きを行うとき必要な「車庫証明書」ですが、住民票のように、申請すれば必ず交付されるわけではありません。
車庫証明書が交付されるには様々なルールが存在しており、そのルールから外れてしまっているケースでは車庫証明書の取得ができません。車庫証明書の取得ができないと、自動車を購入したり、車検証の住所変更ができなくなってしまします。
しかし、車庫証明書の取得ができない全てのケースにおいて可能性が無くなったわけではなく、問題点を修正したり、追加の資料を用意することにより車庫証明書が取得できることもあります。今回は「車庫証明書が取得できないケースとその対処方法」について解説します。
この記事は「ゆめのほし行政書士事務所」が作成しました。
車庫証明書が取得できないケースとその対処方法
駐車場が自宅から離れすぎている
駐車場が自宅(使用の本拠)から離れすぎているケースでは車庫証明書は取得することができません。車庫証明書の交付要件には、「使用の本拠の位置(一般的には自宅)から保管場所(駐車場)まで、直線距離で2km以内であること」というルールが存在します。
ですので、駐車場を借りるときには自宅(使用の本拠)との距離をよく確認してから借りる必要があります。
【このケースの対処方法】
駐車場が自宅(使用の本拠)から離れすぎているために車庫証明書が取得できないケースでは、駐車場または自宅(使用の本拠)の位置を変更して適正距離にするしか方法はありません。
現実的には、駐車場の位置を変更することがほとんどと思われます。
駐車場が狭すぎる
駐車場が狭すぎるケースでも車庫証明書は取得することができません。
駐車場は、自動車がきちんと収まるスペースが確保されていなければなりません。その理由は、狭いスペースの駐車場に自動車を停めておくと、はみ出した自動車が通行の妨げになるからです。
自動車の大きさ(幅、長さ、高さ)は車検証に記載されていますので、駐車場を探すときにはその数値を参考にするとよいでしょう。
【このケースの対処方法】
駐車場に自動車が収まりきらず車庫証明書が取得できないケースでは、原則として駐車場を変更する必要があります。
ただし、道路にははみ出しておらず、駐車場の敷地内で自己に与えらている駐車枠内の収容部分を超えるケースでは車庫証明書が取得できることもあります(駐車枠内の横(幅)が越えてしまうケースでは認められませんが、縦(長さ)が駐車枠を超えているケースでは認められることがあります。
ただし、他の駐車場利用者の迷惑になりトラブルへと発展する可能性もありますので、このようなケースの場合には駐車場の持ち主(管理会社)や警察と相談しながら進めていくことが望ましいです)。
他にも、駐車場内に植木鉢やカーポート等の障害物により自動車が収まらないときには、その障害物等を撤去することにより、自動車を収容するスペースが確保でき、結果として車庫証明書が取得できることもあります。
駐車場の使用権原がない
駐車場の使用権原がないケースでも車庫証明書は取得することができません。
駐車場は、その土地の持ち主(管理者)から自動車の所有者(使用者)に対して、駐車場を使用することを認めてもらわなければなりません。入居者が駐車場を契約しており、その契約者以外のものがその駐車場に自動車を停めようとすることはできません。
具体的なケースとしましては、両親の契約している駐車場に子が自動車を購入(所有)して停める。同棲やルームシェアなど、入居者の契約している駐車場に他の者が自動車を購入して停める。といったことがあります。このようなケースでは、自動車を購入(所有)しようとしている者は駐車場の使用権原がないため、車庫証明書の取得を行うことができません。
【このケースの対処方法】
駐車場の使用権原がないために車庫証明書が取得できないケースでは、使用権原のある駐車場を確保するしか方法がありません。
具体的には、駐車場の持ち主(管理者)から自動車を購入(所有)しようとしている者に対して駐車場の使用許可をもらうことになります。※駐車場の契約者から駐車場の使用の許可をえていたとしても、それのみでは不十分となります(車庫証明書の取得ができないことに加えて、駐車場の契約違反となり、駐車場の契約者も駐車場の使用そのものができなくなるおそれがあります)。
駐車場の持ち主(管理者)から自動車を購入(所有)しようとしている者に対して駐車場の使用許可を得ることができない場合には、別の駐車場を探すなどして、駐車場の持ち主(管理者)から駐車場の使用許可を得た上で車庫証明書の取得申請を行って下さい。
駐車場の使用権原はあるが使用する期間が極端に短い
駐車場の使用権原はあるが使用する期間が極端に短いケースでも車庫証明書は取得することができません。
これは時間貸しや日貸し、週貸しなどの短期間契約の駐車場があてはまります。駐車場の契約期間の単位は3カ月以上が望ましいですが、どんなに短くても1か月以上の単位で契約する駐車場にしましょう。
【このケースの対処方法】
このケースでは、短期間契約の駐車場から長期間契約の駐車場へ移動する以外に方法はありません。
また、車庫証明書の取得を目的として一時的に長期間契約の駐車場を利用し、車庫証明書の取得が終わったら短期間契約の駐車場へ移動するといったようなことは犯罪となりますので行わないようにして下さい。
住所(使用の本拠)として認められない
住所(使用の本拠)として認められないケースでも車庫証明書は取得することができません。
使用の本拠(一般的には住所)とは、自動車を管理する場所のことをいいます。駐車場で事故や事件、災害などの緊急事態が起きたときには速やかに自動車を移動させなければならないこともあります。他にも、車検のように定期的に整備をしたりしなければなりません。それらの管理を問題なく行うことのできる場所が使用の本拠です。誰も人が住んでいないような場所や、自動車の持ち主が生活していないような場所では自動車を管理することができないので、住所(使用の本拠)として認められません。その結果として車庫証明書の取得ができないことになります。
【このケースの対処方法】
住所(使用の本拠)として認められないため車庫証明書が取得できないケースでは、使用の本拠であることを証明することで車庫証明書の「申請」ができます(申請後に現地調査が行われ、使用の本拠と認められた場合に車庫証明書が交付されます)。
証明方法には、電気・ガス等の公共料金の領収書、消印のある郵便物、自動車検査証(軽自動車に限る)等の資料を用意します。
別の自動車が停めてある
別の自動車が停めてあるケースでも車庫証明書は取得することができません。自動車1台につき1つの駐車場を確保しなければなりません。1つの駐車場に2台以上を同時に停めることはできませんので、余ったもう1台の自動車はどこに駐車するのか。という問題が生じるからです。
ただし、レンタカーなどを一時的に停めている場合や、新しく購入する自動車と古い自動車を入れ替えるといったケースでは別の自動車が停めてあっても問題はありません。
【このケースの対処方法】
別の自動車が停めてあり車庫証明書が取得できないケースでは、その自動車を移動する以外に方法はありません。
ただし、レンタカーなどを一時的に停めている場合や、新しく自動車を購入する場合に、新しい自動車と古い自動車を入れ替える、といったケースでは別の自動車が停めてあっても問題はありません。
自動車の手続きに困ったときは
弊所へ相談・依頼することができます
今回は「車庫証明書が取得できないケース」について解説しました。特に「駐車場の使用権原がないケース」や「住所(使用の本拠)として認められないケース」に該当してしまい、車庫証明書が取得できないので自動車の購入(所有)をあきらめてしまった。という声を耳にします。
しかし、有効な使用権原を証明する書類を取得したり、使用の本拠として認められるような資料を提出することで車庫証明書が交付されることもあります。
弊所では、車庫証明書が取得できないケースにつきまして、現場調査や契約書の確認、その他管轄警察署との打ち合わせ等を行ったりしています(有料)。自動車の手続きでお困りの際には弊所へご連絡下さい。※車庫証明書の取得を必ず保証するものではありません。また、名古屋市在住の方のみの対応となります。