自動車の個人売買|引き渡し前に台風や洪水で車が壊れたら?代金支払いと危険負担

自動車の譲渡・売買

自動車を個人売買するとき、売買契約を結んでから車を引き渡すまでに、台風や洪水、地震などの災害が起きることも考えられます。

たとえば、中古車の売買契約を結び、代金の支払いと車の引き渡しを数日後に予定していたとします。その間に洪水が発生し、車が水没してしまった場合、買主は予定どおり代金を支払わなければならないのでしょうか。

このような問題に関係するのが、民法の「危険負担」という考え方です。

この記事では、自動車の個人売買を例に、危険負担の基本と2020年の民法改正による変更点を紹介します。

危険負担とは?

危険負担とは、売買契約を結んだ後、売主にも買主にも責任のない事情によって、売買の目的物を引き渡せなくなった場合などに、代金の支払いをどうするかという問題です。

自動車の個人売買では、次のようなケースが考えられます。

  • 売買契約を結んだ後、引き渡し前に台風で車が水没した
  • 引き渡し前に洪水が発生し、車が流されてしまった
  • 引き渡し前に地震で車が損傷した

こうした場合、車が壊れた原因や損傷の程度、契約内容などによって、売主と買主の対応が変わります。

2020年の民法改正で何が変わった?

2020年4月に施行された改正民法では、危険負担に関するルールが見直されました。

改正前は、特定の物の売買について、契約を結んだ時点から買主が危険を負担する場合がありました。しかし、契約しただけで、まだ引き渡されていない車が災害で失われた場合にも買主が代金を支払わなければならないという考え方は、不公平になり得ます。

そこで改正により、旧民法534条・535条が削除され、危険負担のルールが見直されました。現在は、民法536条などに基づいて判断します。

引き渡し前に車が壊れた場合

売買契約を結んだ後、車を引き渡す前に、売主と買主のどちらにも責任のない事情で車を引き渡せなくなった場合、民法536条1項により、買主は代金の支払いを拒むことができます。

たとえば、個人売買で購入する予定だった中古車が、引き渡し前の洪水によって流され、引き渡すことができなくなった場合です。

このようなケースでは、買主は原則として代金の支払いを拒むことができます。また、契約の履行が不能となった場合には、民法542条に基づいて契約を解除できることもあります。

ただし、車に損傷が生じた場合に、すべて同じ結論になるわけではありません。修理して引き渡せるのか、契約で予定した状態を満たしているのかなど、具体的な事情によって判断が異なります。

車を引き渡した後に壊れた場合

一方、車を買主に引き渡した後、売主と買主のどちらにも責任のない事情で車が損傷した場合は、民法567条が関係します。

原則として、引き渡し後に台風や洪水などで車が損傷しても、買主はその損傷だけを理由に代金の支払いを拒むことはできません。

つまり、危険負担を考えるうえでは、売買契約を結んだ日だけでなく、車をいつ引き渡したのかが重要になります。

なお、買主が車を受け取らなかった場合など、法律上、引き渡しと同じように扱われるケースもあります。

自動車の個人売買では契約内容も大切です

個人売買では、売買契約を結んでから車を引き渡すまでに時間が空くことがあります。

そのため、契約の際には、次の点を話し合っておくと安心です。

  • 車の引き渡し日
  • 代金を支払う時期
  • 引き渡し前に車が損傷した場合の対応
  • 修理が難しい場合に契約を解除するかどうか

こうした内容を契約書に記載しておけば、災害などの予期しない出来事が起きたときも、売主と買主の間で行き違いが生じるのを防ぎやすくなります。

民法のルールと異なる取り決めをすることも、内容によっては可能ですが、契約の内容や取引の状況によって扱いが変わります。特に、個人間の売買であっても、契約書の記載には注意が必要です。

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自動車の個人売買では、契約内容や車の引き渡し時期によって、売主と買主が行うことが変わります。名義変更などの手続きについてお困りの際は、必要な書類の作成や申請を行政書士に依頼する方法もあります。