家族が亡くなり、相続が発生すると、不動産、預貯金、保険、株式、そして自動車など、さまざまな手続きが必要になります。
その中で、
「車の相続手続きは、いつすればいいの?」
「不動産や預貯金の手続きが終わってからでも大丈夫?」
「家族が使っている車は、先に名義変更をした方がいいの?」
と悩まれる方もいらっしゃると思います。
相続の手続きは、すべての財産について同じ順番で進めるわけではありません。
車についても、誰が引き継ぐのか、現在も使用しているのか、売却や廃車を考えているのかによって、先に整理しておきたいことが変わります。
大切なのは、車の名義変更だけを急いで進めるのではなく、相続全体の状況を整理し、車について必要な手続きを適切なタイミングで進めることです。
相続手続きは、まず全体の状況を整理することから
相続が発生したときは、まず、どのような財産があるのか、誰が相続人になるのかを整理します。
一般的には、次のような流れで進めます。
- 預貯金、不動産、自動車などの相続財産を整理する
- 戸籍などを通じて相続人を確認する
- 遺言書の有無や内容を確認する
- 必要に応じて遺産分割の話し合いを行う
- 財産ごとに名義変更や解約などの手続きを進める
ただし、すべての相続で遺産分割協議が必要になるわけではありません。遺言書がある場合や相続人が一人の場合など、状況によって進め方は異なります。
また、相続放棄を検討している場合など、車の名義変更よりも先に対応すべきことがあるケースもあります。
自動車の相続について、何から始めればよいか分からない方は、関連記事「自動車の相続。まずは何を、どうすれば良い?最初に確認しておくポイント」も参考になります。

車検証の名義だけでなく、相続人、ローンの有無、保険、車を引き継ぐ人など、手続きを始める前に整理しておきたい点を取り上げています。
車の名義変更は、相続人や引き継ぐ人が決まってから進める
車の相続手続きでは、誰が車を引き継ぐのかを整理することが大切です。
例えば、次のようなケースがあります。
- 配偶者が引き継いで、これまでどおり使用する
- 子どもが車を引き継ぐ
- 相続人の一人が車を取得し、ほかの相続人は別の財産を取得する
- 誰も使用しないため、売却や廃車を検討する
相続人が複数いる場合は、遺言書の有無や遺産分割協議の状況などを踏まえ、誰が車を取得するのかを整理します。
車を誰が引き継ぐのか決まっていない段階で、一人の判断だけで名義変更や売却を進めると、後から相続人間で問題になることがあります。
また、車を誰が取得するのか決まっていても、相続関係を証明する書類などが必要になる場合があります。
相続手続きでは、戸籍を集めることから始めようと考える方も多いと思います。しかし、必要な書類を準備する前に、車を誰が引き継ぐのかを整理しておくことも重要です。
不動産・預貯金・車では、手続きの事情が異なります
相続財産には、それぞれ異なる事情があります。
不動産
不動産を相続した場合は、相続登記が必要になります。
登記に必要な書類や相続関係の整理については、司法書士などの専門家に相談する方法があります。
預貯金
預貯金は、金融機関で相続に関する手続きを行います。
金融機関によって必要書類や手続きの流れが異なるため、口座のある銀行などに相談しながら進めます。
葬儀費用や生活費などの事情もあるため、相続財産の状況を把握し、必要な対応を考えることになります。
自動車
自動車は、相続後も家族が使用する場合があります。
そのため、名義変更だけでなく、誰が使用するのか、自動車保険はどうなっているのか、売却や廃車を予定しているのかといった点も関係します。
このように、車の手続きは、不動産や預貯金と必ずしも同じ順番で進める必要はありません。
期限がある手続き、生活に関わる手続き、相続人の話し合いが必要な手続きを分けて考えることが大切です。
車を使い続ける場合は、名義変更を先延ばしにしすぎないようにしましょう
相続が発生しても、車検証の名義が自動的に家族へ変更されるわけではありません。
例えば、親が亡くなった後、子どもがその車を引き続き使用する場合でも、相続による名義変更などの手続きを検討する必要があります。
相続直後は、誰が車を引き継ぐのか決まっていなかったり、必要な書類がそろっていなかったりすることもあります。そのため、すぐに名義変更を進められない場合もあります。
一方で、車を日常的に使用する場合には、自動車保険の契約内容や補償の対象となる人などについても注意が必要です。
「今まで問題なく乗れていたから」と、そのままにしておくことが必ずしも安心につながるわけではありません。
名義変更を急ぐべきか、先に整理しておくべきことがあるのかは、車の使用状況や相続の進み具合によって異なります。
遺産分割が終わる前に、車を売却・廃車にしてもよい?
車を使用する予定がない場合には、早めに売却したり、廃車にしたりしたいと考えることもあるでしょう。
しかし、相続人間で車を誰が取得するのか決まっていない段階で、特定の相続人が自分の判断だけで売却や廃車を進めることには注意が必要です。
相続財産の処分は、相続人間のトラブルにつながる可能性があるほか、相続放棄との関係でも問題になることがあります。
また、車を売却する場合には、誰が車を取得するのか、売却する権限があるのか、必要な書類が整っているかといった点も重要です。
車を売却する予定がある場合でも、まず相続関係と売却する権限を整理してから進めることが大切です。
なお、相続した車を知人などに譲りたい場合や、中古車販売店に買い取ってもらいたい場合には、相続に伴う名義変更と、その後の譲渡手続きをどのように進めるかという問題もあります。
相続放棄を検討している場合は、車の手続きを急がないようにしましょう
相続財産に車が含まれている場合でも、必ず車を引き継ぐとは限りません。
借金などの状況によっては、相続放棄を検討することもあります。
相続放棄には原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内という熟慮期間があります。
そのため、相続放棄を検討している場合には、車の名義変更を先に進めるのではなく、相続財産全体の状況を把握し、早めに対応することが重要です。
また、車の売却や廃車など、相続財産を処分する行為には注意が必要です。具体的な行為が相続放棄にどのような影響を与えるかは、状況によって異なります。
相続放棄を検討している場合は、関連記事「自動車の相続で『相続放棄がある』とどうなる?」も参考になります。

相続放棄そのものの判断や申述については、家庭裁判所や弁護士など、適切な相談先へ早めに相談しましょう。
ローン会社名義の車は、通常の相続手続きと異なる場合があります
相続した車の車検証を確認したところ、所有者が亡くなった方ではなく、ローン会社や販売店になっている場合もあります。
これは、ローンの契約などにより、所有権が留保されているケースです。
この場合、使用者として亡くなった方の名前が記載されていても、所有者の欄は別の会社になっていることがあります。
車を引き継ぎたい場合には、ローンの残債や契約内容、所有権を変更するために必要な書類などを確認する必要があります。
通常の相続による名義変更と同じように進められない場合もあるため、まずは車検証とローンの状況を整理しましょう。
詳しくは、関連記事「ローン会社名義(所有権留保)の車の相続手続き。確認すべきポイントと行政書士のサポート」をご覧ください。

車の相続手続きは、車だけで考えないことが大切です
自動車の相続手続きでは、名義変更に必要な書類だけでなく、相続人やほかの財産との関係も考える必要があります。
例えば、車を一人の相続人が取得する一方で、預貯金や不動産をほかの相続人が取得する場合もあります。
また、車を売却して、その代金を相続人間で分けることを検討する場合もあるでしょう。
一方で、相続全体の整理に時間がかかる場合でも、車の使用や保険などについては、先に対応した方がよいことがあります。
すべての手続きが終わるまで車について何もしないのでも、車だけを急いで名義変更するのでもなく、相続全体の状況と、車について今すぐ対応すべきことを分けて考えることが大切です。
当事務所がお手伝いできること
ゆめのほし行政書士事務所では、名古屋ナンバーの自動車・バイクについて、相続による名義変更などのお手伝いをしています。
- 相続した自動車の名義変更に必要な書類の準備
- 車を引き継ぐことになった場合の手続き
- 相続の状況に応じた自動車手続きの進め方の整理
不動産の相続登記や預貯金の解約などは、それぞれの手続きを取り扱う専門家や金融機関などへの相談が必要になる場合があります。
自動車の手続きについても、相続人や車を引き継ぐ人が決まっているかどうかによって、進め方が異なります。
「車の手続きをいつ始めればよいか分からない」
「ほかの相続手続きとの順番を整理したい」
そのような場合は、まず現在の状況を整理することから始めましょう。
車の相続手続きは、相続全体の流れを踏まえながら、必要なタイミングで進めることが大切です。
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