自動車を相続するときには遺産分割協議書を作成しなければならないケースがあります。
しかし、いざ作成するとなると、どう作成すれば良いのか、気を付けなければいけないことは何なのか、色々と気になりますよね。
この記事では、自動車の相続における遺産分割協議書の作成について詳しくお話しします。
この記事はゆめのほし行政書士事務所が作成しました。
遺産分割協議書の作成
はじめに、遺産分割協議書には法律上決まった様式はありません。
亡くなられた方(被相続人)や、相続する財産、相続する権利のある人たち(相続人)を特定することができ、遺産分割の内容について相続人全員が合意したことが分かればどのように作成しても良いです。
しかし、遺産分割協議書を受理する機関により独自のルールを設けていたりもします。
決まりがあるような、ないような、ということが返って難しく感じてしまうのかもしれませんね。
遺産分割協議書を作成する前には、遺言書があるのかどうか、相続する権利のある人は誰なのか、相続する財産は何がどれくらいあるのか、その財産を誰が・どの割合で相続するのか、などを調べなければなりません。
この記事では、それらのことが全て完了し、そのことを書面として作成する方法について記載しています。
それでは、具体的に遺産分割協議書を作成していきましょう。
- step1用紙の準備
まずは遺産分割協議書を作成するための用紙を準備しましょう。一般的に、遺産分割協議書はA4用紙で作成しますが、 A3用紙で作成しても法律上は問題ありません。
- step2タイトルを書きましょう
タイトルを書きましょう。タイトルは「遺産分割協議書」と書くことが一般的です。
- step3亡くなられた方の表記
誰の遺産について相続が発生しているのかを明らかにするために、亡くなられた方(被相続人)についての次の情報を記載しましょう。
- 被相続人の氏名
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 被相続人の生年月日
- 被相続人の死亡年月日
これらは亡くなられた方の戸籍謄本等を確認しながら行いましょう。
- step4本文
本文には、遺産分割協議を行った事実と誰が自動車を相続するかを記載しましょう。
- step5後書き
後書きには、遺産分割協議書を作成した通数や保管方法を記載しましょう。
- step6日付
日付は遺産分割協議の話し合いがまとまった日を記入しましょう。
- step7署名・印鑑
自動車を相続する遺産分割協議書には、相続人全員の住所・氏名を記載し、相続人全員の実印を押印します。
自動車の相続では遺産分割協議書に実印を押印することが求められています。
- step8自動車の表示
相続する自動車が正確にわかる情報を記載しましょう。車検証を確認しながら、次のことを記載します。
- 自動車登録番号(ナンバープレートのこと)
- 車名
- 型式
- 車台番号
以上で、自動車を相続するときの遺産分割協議書の作成は完了です。
遺産分割協議書の疑問
ここまで、自動車を相続するときの遺産分割協議書の作成方法についてお話してきました。
しかし、疑問に思うことや不思議に感じる部分があるかもしれません。
そこで、自動車を相続するときの遺産分割協議書に対する疑問についてお話しさせていただきます。
署名や押印のできないひとはどうするの?
自動車の相続における遺産分割協議書には、相続する権利のあるひと全員が署名及び押印をしなければなりません。
しかし、全てのひとが署名や押印をできるとは限りません。
生まれたばかりの赤ちゃんや、手の不自由な方、などいろいろな方がいらっしゃいます。
そのようなときには、その方たちに代わる代理人が署名や押印を行うことで遺産分割協議書を完成させます。
しかし、代理人となるひとは誰でも良いわけではありませんの注意しなければなりません。
認知症や知的障害、精神障害のある方がいるとき
自動車を相続する人たちの中に認知症や知的障害、精神障害のある方がいる場合には、その人たちは相続の話し合いに参加したとしても、自動車を相続するのか、それとも相続しないのか、など物事の判断ができないことがあります。
物事の判断ができないことをいいことに、自動車を相続させないように話の方向性を持って行かれたりすると、その人たちに金銭面で損害が生じてしまします。
そうならないようにするため、物事の判断ができない人たちの代わりとなってが話し合いに参加する人が必要となります。
障害などにより物事の判断ができない人たちの代わりとなって手続きを進める人のことを成年後見人といいます。
成年後見人がいない場合は家庭裁判所へ成年後見人の申立てを行いましょう。
未成年者(18歳未満)がいるとき
相続する権利のあるひとたちの中に未成年者(18歳未満)とその親がいる場合には、親はその未成年者の法律行為を代わりに行う立場にいます。
未成年者にとって不利益な相続とならなければ何も問題はないのですが、親はこの立場を利用して、自分に有利なように自動車を相続することだってできてしまいます。
親が有利に相続するということは、未成年者の子にとっては不利な相続になるということです。
そうならないように、相続する権利のあるひとたちの中に未成年者(18歳未満)とその親がいて、未成年者が不利益を受けるときには、未成年者を守るべき人の存在が必要です。
その人たちのことを特別代理人といいます。特別代理人は未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をします。
印鑑証明書が全員分いらないのはなぜ?
遺産分割協議書に実印の押印を求めるということは印鑑証明書の添付を求めるということです。
しかし、自動車の相続手続きでは印鑑証明書は新所有者となる者のみに提出を求められています。
その他の相続人が遺産分割協議書に実印を押印しているにもかかわらず、その他の相続人の印鑑証明書の提出を求められないことは不思議に思ってしまいますよね。
これは、自動車がその他の不動産や金融資産と比較し、そこまで資産としての価値が大きくないため、相続人同士での紛争や犯罪が起こりにくく、手続きの簡略化を優先しているのではないかと考えられています。
相続する人が複数いるときはどうなるの?
今回は、ひとりの人が自動車を相続するというケースにて遺産分割協議書の作成を行いました。
しかし、実際は自動車の相続する人がひとりではないことだってありえます。
そのようなときには、遺産分割協議書の本文にその事実を記載して、自動車を共有の名義にすることになります。
共有名義のときは遺産分割協議書を作成しなくて良いかも?
相続では、相続する権利のある人に対してそれぞれ分け与えられた持ち分というものがあります。
この持ち分の通りに相続をするときには話し合いを行う必要はないため、遺産分割協議書も作成しなくて良いことになります。
自動車の相続でお困りのときは
今回は自動車の相続における遺産分割協議書の作成方法について詳しくお話をしてきました。
遺産分割協議書を作成するにあたり、確認しればいけないルールがあったり、多くの疑問点もあったかと思います。
自動車の相続は遺産分割協議書を作成して終了ではありません。
まだまだしなければならないことがたくさん残っており、ひとつひとつ確認しなければならないこと、気を付けなければいけないことが存在しています。
弊所は名古屋市在住の方を対象に自動車の相続を行っている行政書士事務所です。
ご自身で自動車の相続を行うことが困難であったり、不安のある方はお問い合わせ下さい。