軽貨物と車庫証明。軽貨物を始めるときに知っておきたい車庫のこと。

車庫証明書

令和4年に軽貨物の規制緩和がありましたね。その結果、気軽に軽貨物事業を始めることができるようになりました。

しかし、いざ軽貨物を事業として始めるとなると様々なことを知っておかなければなりません。

今回は、軽貨物の車庫(保管場所)について、事業を始めるときと辞めるときに知っておきたいことについて解説します。

この記事は「ゆめのほし行政書士事務所」が作成しました。

はじめに、この記事の結論から記載させていただきます。

軽貨物事業の自動車(黒ナンバー)に関する保管場所(車庫)の手続きは、警察署ではなく使用の本拠地を管轄する運輸支局へ行います。

それでは、ひとつひとつを詳しくお話しさせていただいたきます。

そもそも軽貨物とは、軽自動車やバイクを使って荷主の荷物を配送する事業のことです。
一般的には軽貨物と呼ばれることが多いですが、法律上は「貨物軽自動車運送事業」といいます。

なお、バイクについては、排気量が126cc以上のものが軽貨物の対象となり、排気量125cc以下のバイクは軽貨物の対象外です。

軽貨物の定義されている法律を詳しく見る

貨物自動車運送事業法第二条(定義)抜粋。この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。

それでは、記事の本題となります「軽貨物と車庫証明」についてです。

そもそも車庫証明とは、一般的には警察署から証明してもらう書類のことを指します。

自動車のために用意した保管場所(駐車場)が、しっかりとした権限に基づいて使用していることや、交通の妨げになっていないことを警察署に対して証明し、その証明結果として交付されるものが「車庫証明書(正式名称:自動車保管場所証明書) 」です。

この車庫証明書は、普通車(白いナンバープレートの自動車)を新しく購入したり、保管場所の位置が変わったときに新しい車検証の交付を受けるときに必要となります。

そして、軽自動車(黄色いナンバープレートの自動車)も新しく購入したり、保管場所の位置が変わったときは車検証の交付を受けた後に、警察署へ保管場所(車庫)の届出を行います。

つまり、警察署は白いナンバープレートと黄色いナンバープレートを管轄しているというわけです。

一方で、軽貨物の自動車は黒いナンバープレートを取り付けます。この黒いナンバープレートの自動車は運輸支局が管轄をしています。

ですので、警察署へ対する車庫証明はしなくて良いですが、運輸支局へ対する車庫の届出は行わなければなりません。

では、警察署が黒いナンバープレートの自動車を管轄していないため、軽貨物の自動車は車庫についての届出は一切行う必要はないのでしょうか。

そんなとこはもちろんありません。やはりどこかの役所がしっかりを駐車場を管理しなければ、路上駐車やはみ出し駐車など、交通への支障が出るおそれがあります。

そして、軽貨物の自動車(黒いナンバープレートの自動車)の保管場所については使用の本拠地を管轄する運輸支局が管理しています。

なお、軽貨物の自動車(黒いナンバープレートの自動車)の車検証やナンバープレートの交付に関することは軽自動車検査協会が管理しています。

新しく自動車を購入してこれから軽貨物を始めようとするときには、保管場所を確保したうえで使用の本拠の位置を管轄している運輸支局へ車庫(保管場所)の届出を行いましょう。

運輸支局へ対し、保管場所のほか事業計画の内容や事務所の詳細、運賃などの届出を行うと連絡票が発行されます。その連絡票と軽自動車の各種手続きに必要となる書類を軽自動車検査協会に届出することにより、新しい車検証と黒いナンバープレートの交付を受けることができます。

これで軽貨物の事業を始めることができます。

事業の途中で車庫(保管場所)に変更のあったときは、新しい保管場所を確保したうえで使用の本拠の位置を管轄している運輸支局へ保管場所を変更する届出を行いましょう。

運輸支局へ対し保管場所を変更する届出を行うと連絡票が発行されますので、その連絡票と軽自動車の手続きに必要となる書類を軽自動車検査協会に届出することにより、新しい車検証の交付を受けることができます。

事業を廃止するときは、その旨を使用の本拠の位置を管轄している運輸支局へ届出します。

運輸支局へ対し事業を廃止する届出を行うと連絡票が発行されますので、その連絡票と軽自動車の手続きに必要となる書類や黒いナンバープレートを軽自動車検査協会に届出することにより事業を廃止することができます。

軽貨物で使用していた自動車をそのまま私生活で使用するときには黄色いナンバープレートの交付を受ける手続きを行います。

軽貨物の事業を廃止して、その事業で使用していた自動車をそのまま私生活で使用するときには黄色いナンバープレートの交付を受けます。

黄色いナンバープレートを管轄しているのは警察署ですので、保管場所の届出は保管場所を管轄している警察署へ行わなければなりません。

ここまで、軽貨物と車庫証明についてお話してきました。

事業用の自動車は自家用の自動車とは管轄が異なっているので、気にしないまま過ごしてしまうと続きを怠ってしまった、ということにもなりかねません。

それは法律に違反するということにもなり得ます。

軽貨物の事業を廃止し、その事業で使用していた自動車をそのまま私生活で使用するときには、軽貨物の事業を廃止したときから15日以内に、自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、自動車の使用の本拠の位置や保管場所の位置などを届け出なければなりません(自動車の保管場所の確保等に関する法律第13条3項より)。

届出を怠ると10万円以下の罰金に処されるおそれがあります(自動車の保管場所の確保等に関する法律第17条3項より)。

罰金とはどういうもの?

罰金とは刑法に定められている刑罰の一種で、違反者に制裁として課される金銭的な負担のことです。罰金刑を受けたときは前科の扱いとなり、一度前科がついてしまうとその事実は消えることはありません。 前科の記録は検察庁と本籍地のある市区町村の犯罪人名簿に記録されます。

軽貨物の事業をしているあいだに保管場所を変更したときは、国土交通大臣にその変更を届出しましょう(貨物自動車運送事業法第36条1項より)。

変更の届出を行わずに貨物軽自動車運送事業を経営したときは100万円以下の罰金に処されるおそれがあります(貨物自動車運送事業法第76条9項より)。

罰金とはどういうもの?

罰金とは刑法に定められている刑罰の一種で、違反者に制裁として課される金銭的な負担のことです。罰金刑を受けたときは前科の扱いとなり、一度前科がついてしまうとその事実は消えることはありません。 前科の記録は検察庁と本籍地のある市区町村の犯罪人名簿に記録されます。

今回は軽貨物の事業と車庫(保管場所)の手続きについて解説しました。

事業を行う際には、日常生活とは異なるルールがあったり、しておかなければならない手続きがあったりします。知らなかったや忘れていた、では事業を継続することができなくなるおそれもあります。

弊所は名古屋市で軽貨物の事業を行う方を対象に、軽貨物事業における様々な手続きをサポートしている行政書士事務所です。お困りのときはお問い合わせ下さい。

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