自動車の相続。名義変更はどこで、何をすれば良い?名義変更の進め方。

自動車の相続

相続した財産の中に自動車が含まれていることはよくありますよね。しかし、いざ自動車を相続するとなると、自動車の名義変更はどこで、何をすれば良いのかわからないものです。

この記事では相続した自動車の名義変更の進め方について記載します。

この記事は「ゆめのほし行政書士事務所」が作成しました。

それでは相続した自動車の名義変更の進め方をお話させていただきます。

特徴としましては、みんなが同じ手続きを進むわけではなく、ひとそれぞれの事情に合わせて手続きは進んで行きます。

はじめに。相続する財産の中に自動車があると知ったとき、いきなり名義変更の手続きを始めて良いものなのでしょうか。

実は、相続する財産の中に自動車があるときには最初に確認しておくことがあります。

名義変更を始める前に、以下のことを確認しておきましょう。

  • 亡くなられた方の国籍
  • 車検証の所有者がローン会社やリース会社になっていないか
  • 遺言書が残っていないか
  • 相続する権利のある人たちが誰なのか
  • 誰が、どういう持ち分で自動車を相続するのか
  • 自動車を相続する人たちの中に認知症や知的障害、精神障害のある方がいないか
  • 自動車を相続する人たちの中に未成年者がいないか

これらのことを確認しないまま名義変更の手続きを始めると、名義変更の手続きが上手く進まなかったり、親族の間でトラブルになってしまうおそれがあります。これらのことが終わりましたら名義変更を始めましょう。

もっと詳しく知りたい

自動車を相続するときに確認しておくことにつきましては過去記事に詳細がありますので、よろしければご参考にして下さい。

相続する自動車の問題点を確認した後はいよいよ名義変更の手続きを進めて行きます。

まずは自動車のナンバープレートを確認してみましょう。

ナンバープレートは地域によって表示が変わります。

ですので、亡くなられた方と離れた所で暮らしている人が相続するときには、ナンバープレートを新しい表示のものと交換しなければなりません。

ナンバープレートの交換に不安がある方は

ナンバープレートの交換に不安や不便を感じているときは、行政書士の行う出張封印を活用していただくことができます。

次に、亡くなられた方の自動車の車検証を確認してみましょう。確認するべきポイントは「車検証の有効期限」と「使用の本拠の位置」です。

まずは、車検証に記載されている「車検証の有効期限」を確認して下さい。

自動車の名義変更は車検の有効期限内でなければなりませので、車検の切れている自動車は名義変更を進めることができなくなってしまいます。

次に、亡くなられた方の車検証に記載されている「使用の本拠の位置」を確認してみて下さい。

亡くなられた方の車検証に記載されている「使用の本拠の位置」と自動車を相続する人の住所(使用の本拠の位置)が異なる場合には、駐車場を管轄している警察署にて保管場所を証明する書類(車庫証明書)を取得したり、保管場所の変更届をしなければなりません。

普通車は車庫証明書を取得します

相続する車が普通車で、亡くなられた方の車検証に記載されている「使用の本拠の位置」と自動車を相続する人の住所(使用の本拠の位置)が異なる場合には、車検証の名義変更を行う前に保管場所を管轄している警察署にて車庫証明書の取得を行います。

軽自動車は保管場所の変更届を行います

相続する車が軽自動車で、亡くなられた方の車検証に記載されている「使用の本拠の位置」と自動車を相続する人の住所(使用の本拠の位置)が異なる場合には、保管場所を管轄している警察署にて保管場所の変更届を行ったあとに車検証の名義を変更します。

亡くなられた方の生まれてから死亡するまでを証明した書類を取得します。

これらの書類は除籍謄本じょせきとうほん改製原戸籍かいせいげんこせきという名称で亡くなられた方の本籍地のある市町村役場にて保管されています。

令和6年3月1日より最寄りの市区町村窓口にて取得できるようになりました

これまで除籍謄本や改製原戸籍など戸籍証明書は、亡くなられた方の本籍地にある市町村役場にて取得をしなければなりませんでした。

しかし、令和6年3月1日より最寄りの市区町村窓口にて、これらの戸籍証明書が取得できるようになりました(広域交付制度)。

ただし、この制度を利用して戸籍証明書が取得できるのは相続人に限られており、行政書士による戸籍証明書の請求は原則通り亡くなられた方の本籍地へ行うこととなります。

亡くなられた方の財産を相続する権利のある人たちみんなの戸籍謄本または抄本を取得しましょう。

戸籍は本籍地を管轄する市区町村にて取得することができます。

令和6年3月1日より最寄りの市区町村窓口にて取得できるようになりました

これまで戸籍は本籍地にある市町村役場にて取得をしなければなりませんでした。

しかし、令和6年3月1日より最寄りの市区町村窓口にてこれらの戸籍証明書が取得できるようになりました(広域交付制度)。

ただし、この制度を利用して戸籍証明書が取得できるのは相続人に限られており、行政書士による戸籍証明書の請求は原則通り亡くなられた方の本籍地へ行うこととなります。

相続する権利のある人たちが誰なのかを把握したあとは、誰が、どういう持ち分で自動車を相続するのかの話し合いをしましょう。

この話し合いのことを遺産分割協議いさんぶんかつきょうぎといいます。

話し合いが終わりましたら、その内容を書面にして残しておきましょう。

この書面のことを遺産分割協議書いさんぶんかつきょうぎしょといいます。

遺産分割協議書の見本

もし話し合いがまとまらないときは家庭裁判所にて調停や審判を行い、誰が、どういう持ち分で自動車を相続するのか決定しましょう。

調停や審判とはどんなもの?

調停とは、裁判官一人と民間の良識のある人から選ばれた調停委員二人以上で構成される調停委員会が、当事者双方の事情や意見を聴くなどして、双方が納得して問題を解決できるよう、助言やあっせんを行い、当事者間で合意が成立するよう紛争の解決を図る手続です。

そして、調停が成立しなかった場合に裁判官が当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官が行った調査の結果や資料に基づいて決定されることを審判といいます。

遺産分割協議書の作り方をもっと詳しく知りたい

遺産分割協議書には法律上決まった様式はありません。

亡くなられた方(被相続人ひそうぞくにん)や、相続する財産、相続する権利のある人たち(相続人そうぞくにん)を特定することができ、遺産分割の内容について相続人全員が合意したことが分かればどのように作成しても良いです。

しかし、自動車の相続では遺産分割協議書を受理する機関により独自のルールが設けられてたりします。

自動車を相続する人の印鑑証明書を取得しましょう。

印鑑証明書は亡くなられた方の財産を相続する権利のある人たち全員のものを取得する必要はなく、自動車を相続する人(自動車の新しい所有者となる人)のものだけ取得すれば良いです。

印鑑証明書は住所を管轄している市区町村にて取得することができます。

ただし印鑑証明書には有効期限が決まっており、取得してから3カ月を過ぎてしまうと名義変更の書類として不備の取扱いになりますので注意して下さい。

軽自動車の相続では住民票でも良いです

軽自動車の相続では印鑑証明書ではなく住民票を用いても良いです。ただし、有効期限は印鑑証明書と同じように発行から3カ月以内と決まっております。

ここまで来ましたら必要な書類は全て揃っていますので相続する自動車の車検証の名義変更手続きを行います。

普通車の車検証を変更する場所はどこ?

普通車の車検証の変更手続きは地方運輸局や検査登録事務所にて行います。名古屋ナンバーは愛知運輸支局(名古屋市中川区)にて行われます。

軽自動車の車検証を変更する場所はどこ?

軽自動車の車検証の変更手続きは管轄の軽自動車検査協会にて行います。名古屋ナンバーは軽自動車検査協会愛知主管事務所(名古屋市港区)にて行われます。

ナンバープレートはどうするの?

相続することによりナンバープレートの交換があるときには、普通車は地方運輸局や検査登録事務所、封印取付事業場まで車を持ち運びその場で交換作業を行います。

軽自動車は管轄の軽自動車検査協会まであらかじめナンバープレートを外して持って行っても、車を持ち運びその場で交換作業をしてもどちらでも良いです。

ナンバープレートの交換に不安や不便を感じているときは、行政書士の行う出張封印を活用していただくこともできます。

車検証の変更手続きが終わりましたら自動車税環境性能割じどうしゃぜいかんきょうせいのうわり(旧:自動車取得税)の申告と自動車税種別割じどうしゃぜいしゅべつわりの納税義務者を変更しましょう。

自動車税環境性能割(旧:自動車取得税)につきましては、自動車の相続では非課税の扱いとなっておりますので0円で申告することになります。

自動車税種別割とは毎年1年に1回、5月頃に支払っている自動車税のことです。亡くなられた方から自動車を相続した方へと納税義務者の変更します。

普通車の自動車税を申告する場所はどこ?

普通車の自動車税は県税事務所にて管理されています。県税事務所は車検証の変更手続きをするところの付近に出張所が用意されていますので、車検証の変更手続きと同日に行うことができます。

軽自動車の自動車税を申告する場所はどこ?

軽自動車の自動車税は市税事務所にて管理されています。車検証の変更手続きをするところが受理をしてくれますので、車検証の変更手続きと同日に行うことができます。

車検証の名義変更が終わりましたら自動車保険の氏名や住所の変更を行いましょう。

自動車保険には強制保険である自賠責保険と任意保険の2種類があり、変更の手続きは加入している保険会社にて行います。

亡くなられた方の財産が一定金額を超えるときには相続税の申告をしなければなりません。

相続税の申告は、亡くなられた方が死亡したことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。

自動車を相続するときは様々な法律に則り手続きを進めて行かなければなりません。

知らず知らずのうちに法律違反しないよう注意が必要です。

自動車を相続したときは道路運送車両法第12・13条に基づき15日以内に車検証の名義変更を行わなければなりません。

あまりに車検証の名義変更手続きを放置していると道路運送車両法第109・2項の規定によりの50万円以下の罰金に処されるおそれがあります。

罰金とはどういうもの?

罰金とは刑法に定められている刑罰の一種で、違反者に制裁として課される金銭的な負担のことです。罰金刑を受けたときは前科の扱いとなり、一度前科がついてしまうとその事実は消えることはありません。 前科の記録は検察庁と本籍地のある市区町村の犯罪人名簿に記録されます。

自動車税につきましても、地方税法160条2項の規定により15日以内に納税義務者の変更があったことをを申告しなければなりません。

また、自賠責保険証についても、期限や罰則などはありませんが自動車損害賠償保障法第7条2項基づき氏名や住所に変更があったときにはその手続きをしなければなりません。

自動車を相続したことにより保管場所の位置に変更があったときは、自動車の保管場所の確保等に関する法律第7条に基づき15日以内に届出を行わなければなりません。

届出を怠ると同法17条3項の規定に基づき10万円以下の罰金に処されるおそれがあります。

罰金とはどういうもの?

罰金とは刑法に定められている刑罰の一種で、違反者に制裁として課される金銭的な負担のことです。罰金刑を受けたときは前科の扱いとなり、一度前科がついてしまうとその事実は消えることはありません。 前科の記録は検察庁と本籍地のある市区町村の犯罪人名簿に記録されます。

今回は相続した自動車の名義変更について解説しました。ご覧いただいてわかる通り、行うことがたくさんあります。

弊所は名古屋市在住の方を対象に自動車の各種手続きを行っている行政書士事務所です。自動車の相続でお困りのときはお問い合わせ下さい。

弊所では「相続税・贈与税の申告・相談」につきましては対応しておりません。相続税・贈与税の申告につきましては、お客様ご自身で行われるか、税理士事務所様へご依頼ください。

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